歯肉炎からだんだんと、歯周炎に進行します
たまった歯垢を放置していると歯肉炎になります。さらに放置していると歯周炎に移行します。
歯周炎は放っておくとダメージは深刻になります。重度の治療期間は長く、費用も増大していきます。歯肉炎または軽度の歯周炎のうちに治療を始めることが大切です。
歯周病進行度Lv.1たまに歯茎の腫れや出血がある
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歯肉炎または軽度の歯周炎の段階では、痛みが出るとは限りません。しかし鏡で歯茎を見ると、赤く腫れて見えるようになります。また、ブラッシングや食事の際に歯の根元から血がにじむようになります。
とはいえ、この段階なら、大がかりな外科治療を行う必要はありません。歯垢・歯石のクリーニングだけで十分に間に合います。
軽度の歯周炎の場合は、歯槽骨の吸収が少しはじまり、歯周ポケットも徐々に深くなってくるため、プラーク・歯石が溜まりやすくなってきます。
歯周病進行度Lv.2硬いものを噛むと痛みを感じる
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中度の歯周炎の場合は、歯周ポケットがかなりの深さ(4〜5mm)に達します。その中に歯垢・歯石が蓄積されます。
出血や膿が目立つようになり、歯茎が縮小して歯が長く見えるようになります。痛みが強くなってブラッシングをやりづらくなります。
レントゲンで確認すると、歯根の半分くらいの箇所まで、あごの骨が溶けていることが多いです。
歯周病進行度Lv.3食事に差し支えるほど歯がグラグラする
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歯周炎が重度になると、歯周ポケットは6mm以上の深さに達し、その奥から出血がはじまってしまいます。
歯茎の腫れや膿、口臭といった症状が深刻になります。あごの骨は、歯根の三分の二以上の長さが溶けてしまいます。このため、歯のぐらつきや歯茎の縮小も顕著になります。
放置しておけば、いずれ歯が抜け落ちても不思議ではありません。
歯周病の症状は、口の中のトラブルだけにとどまりません
歯周病菌は、血管に入り込むと全身を循環します。このために、以下のようなさまざまな全身疾患に悪影響をもたらすことが明らかにされています。
〈 歯周病と全身疾患との関わり 〉
- 血管疾患
- (動脈硬化・脳血管疾患・心臓疾患等が有名ですが、最近は細菌性心内膜炎※1への影響がさかんに研究されています)
- 高血糖および糖尿病
- 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)
- 妊娠中のリスク
- (早産や低体重児出産をもたらす恐れが報告されています)
※1 細菌性心内膜炎とは?
心臓の弁に細菌が付着して、数多くの障害を引き起こす疾患です。
歯周病菌との因果関係に関しては、「日本循環器学会」等が公開している「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」
(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2003_miyatake_h.pdf )」の中で詳細に発表されているほどです。
歯周病の兆候が見られる場合は速やかに、
歯周病の専門医に治療に関して相談することが重要です。
清水 智幸(しみず ともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学を卒業後、奥羽大学・スウェーデン王立イエテボリ大学に所属して世界基準の歯周病学を研究する。経験した歯周病・歯周外科の症例は10000以上。現在は歯周病治療に日々励むほか、インプラントの歯周病トラブル(インプラント歯周炎)治療に取り組み、世界No.1インプラントメーカー ストローマン社の講師として後進の育成や予防歯科の啓発にも力を入れている。