症状と原因
初期の自覚症状に乏しい歯周病。 早期発見が大事です。

「出血、口臭、腫れ、痛み」が出てきたら注意!

歯茎からの出血や歯茎の腫れ、口臭など、歯周病の症状はさまざまですが、しばらくは生活に差し支えない症状がほとんどです。 そのため、ついつい放置してしまう人が多くいます。しかし、ゆっくりとではあるものの確実に進行していくのが歯周病の怖いところ。以下のいずれかの症状が見られるときは、お早めに専門医の診察を受けるようにしましょう。

  • 歯茎からの出血

    歯茎からの出血

    歯周病の代表的な症状の一つが、歯茎からの出血です。歯周病菌に感染すると歯茎が炎症を起こし、歯磨きをしたときや食事をしたときなどに歯茎から血が出るようになります。歯周病が進行すると、何もしていなくても歯茎から血がにじむようになります。

歯茎からの出血が見られたら初期の歯周病を疑うべきですが、「歯茎から血が出たくらいで歯科医院には行かない」という方がほとんどです。これはおそらく、多くの方が歯茎から血が出たことがあるものの、自然に治ったという経験をしているからだと思います。 たしかに、歯周病にかかっても、初期(歯肉炎)のうちなら口腔内を清潔に保つことで改善して出血がなくなることはあります。また、歯磨きのときに力を入れすぎて出血してしまうこともありますが、これも一時的なものなのですぐに収まります。

しかしながら、歯茎からの出血を放置していたために、歯周病の進行を許してしまう人が多いのも事実です。 歯茎からの出血に気付いたら、面倒でも一度、歯科医院に足を運ぶようにしましょう。歯周病に感染していたとしても、初期のうちなら基本治療だけで治すことができますし、通院や治療費の負担も少なく済みます。

なお、何もしていなくても常に歯茎から血がにじんでいるという方は急を要します。歯磨きや食事による刺激がなくても出血があるということは、歯茎の炎症がひどい証拠であり、歯周病が重度にまで進行しているおそれがあるからです。

歯周病以外で歯茎から出血する原因とは?

歯茎から血が出る場合、第一に歯周病を疑うべきですが、歯周病以外にも考えられる原因があります。もっとも一般的なのは、「強すぎる歯磨きによる擦過傷(さっかしょう)」です。

「ゴシゴシと歯磨きしないとすっきりしない」「力を入れて歯磨きしないと汚れが落ちない」と考えて、力を入れて歯磨きをする人は少なくありません。しかし、力を入れてゴシゴシ磨くと歯茎が傷付く擦過傷(さっかしょう)になり、できた傷から出血する場合があります。 擦過傷による歯茎からの出血は一時的なものですが、強すぎる歯磨きが習慣になっていると「歯肉退縮」という症状を招くおそれがあります。歯肉退縮とは、歯茎が痩せて(退縮して)歯根部が露出してしまう症状です。 歯茎が痩せると歯が長くなったように見えるので、見た目が悪くなります(不健康な印象や老けたような印象になりがちです)。それだけでなく、露出した歯根部から知覚過敏や虫歯を起こしやすくなります。

擦過傷以外にも、たとえば心筋梗塞や脳梗塞などで血液を固まりにくくする抗凝固剤を服用している人は、歯茎からも出血しやすくなります。また、糖尿病や白血病などの全身疾患を患っている人も、歯茎から出血する場合があります。

しっかり歯磨きすれば出血は止まる!?

歯周病によって歯茎から血が出ている場合は、当然のことですが、最適な歯周病治療を受ける必要があります。歯周病の初期段階である歯周炎の状態であれば、毎日きちんと歯磨きをしてプラーク(歯垢)を除去できれば出血を止めることができます。 軽度歯周炎・中度歯周炎の状態であれば、歯科医院でスケーリングやデブライドメントの処置を受けて、プラークや歯石を取り除くことで改善が期待できます。歯茎からの出血については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

  • 歯茎の腫れ・膿

    歯茎の腫れ・膿

    歯周病にかかると、歯茎が腫れたり、歯茎から膿が出たりします。その他にも、歯茎の痛みやかゆみといった症状が見られることもあります。

歯周病はそもそも、プラークに潜む歯周病菌が歯茎に炎症を起こすことからはじまる病気。歯茎に炎症が起きると歯茎が赤く腫れてきて、さらに進行すると歯茎はブヨブヨと腫れぼったくなってきます。歯茎の腫れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

また、歯周病が進行すると歯茎から膿が出るようなります。歯茎から膿が出るということは、ある程度、歯周病が進行している証拠であり、中度歯周炎もしくは重度歯周炎が疑われます。歯茎からの膿に気付いたら、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。 なお、歯茎から膿が出るようになると、口のなかがネバネバするようになったり、口臭が強くなったりします。「最近、口臭がきつくなってきたかも……」と感じる場合も、歯科医院を受診したほうがいいでしょう。

歯茎から膿が出る場合の治療法

歯周病で歯茎に膿が溜まっている場合、歯茎を切開して膿を出したり、抗生物質で膿を抑えたりします。ただし、これらはあくまでも対症療法。膿が出ない健康な状態に戻すには、原因である歯周病を根本的に治すことが大切です。

歯周病を治すには、「スケーリング」「デブライドメント」といった治療でプラーク・歯石を取り除くことが基本になります。ただ、歯茎から膿が出るということは、歯周病が進行して歯周ポケットの奥深くまでプラーク・歯石が溜まっていることが考えられます。 その場合は、歯茎を切開して歯根部を露出させたうえで、歯根部にこびり付いたプラーク・歯石を取り除く「歯周外科手術」をおこないます。歯周病のメカニズムや歯周病治療で重要なことなどは、以下の記事で詳しく解説しています。

歯周病以外で歯茎から膿が出る原因とは?

歯茎から膿が出る場合、第一に歯周病を疑うべきですが、歯周病以外にも考えられる原因があります。なかでもよくあるのが、根尖病巣(こんせんびょうそう)です。

根尖病巣とは、歯の根の先端部分に膿が溜まる病気です。根尖病巣は、過去に虫歯で神経を除去した歯が再び細菌感染することで起こるケースが多くあります。 その他、歯肉膿瘍(しにくのうよう)や、智歯周囲炎(ちししゅういえん)によって歯茎から膿が出るケースもあります。いずれも自然治癒する病気ではないため、歯科医院で最適な治療を受ける必要があります。

  • 口臭

    口臭

    歯周病の代表的な症状の一つに口臭があります。歯周病にかかると、歯周病菌の繁殖によって口臭が生じます。歯周病が進行すると、歯茎から血や膿が出るようになるため、口臭はさらに強くなります。

とはいえ、口臭には歯周病だけではなく様々な原因があります。いくつかの原因が絡み合っているケースも多いため、原因を明確にするのは簡単ではありません。 「人に指摘されるほど強い口臭がある」「以前に比べ口臭が強くなった」「今まで感じたことがある口臭とはニオイが違う」といった場合は、歯周病や虫歯など口腔内に異常があるケースが多いため、歯科医院を受診するのがいいでしょう。

歯周病以外で口臭が生じる原因とは?~口臭の種類~

口臭は歯周病の代表的な症状の一つですが、口臭があるからといって必ずしも歯周病に感染しているというわけではありません。 一般的に口臭は、「生理的口臭」「病的口臭」「飲食物・嗜好品による口臭」「心理的口臭」に分類されます。順番に解説していきましょう。

生理的口臭

生理的口臭は、朝起きたときや緊張しているときに生じがちな、誰にでもある口臭です。生理的口臭の主な原因は、唾液の量が減ることや舌苔(舌の汚れ)だと言われています。たとえば、ガムを噛んだり、水を飲んだり、舌磨きをするなど、日常のケアによってある程度はコントロールできます。

病的口臭

病的口臭とは、病気が原因となって生じる口臭のことで、大きく2つに分けられます。一つは、歯周病や虫歯など口腔内の病気が原因になっている場合。もう一つは、呼吸器系や消化器系の病気、肝臓疾患、糖尿病などの全身疾患が原因になっている場合。病的口臭の90%以上は前者だとされています。前者の場合であれば、歯科治療で原因を取り除くことによって口臭を解消できるでしょう。一方で、後者の場合は然るべき診療科を受診して、原因になっている病気を治療するのが先決です。

飲食物・嗜好品による口臭

ニオイの強い食べ物を食べたり、ニオイの強い嗜好品を口にしたりすることで生じる口臭です。生理的口臭と同様に、誰もが経験したことのある口臭だと思います。原因となる代表的な食材としては、ニンニク、ニラ、キムチなどが挙げられます。嗜好品では、お酒やタバコ、コーヒーなどが主なものです。このような飲食物・嗜好品を控えたり、摂取した後に歯を磨いたりするなど、日頃のケアによってある程度はコントロールできます。

心理的口臭

心理的口臭とは、実際には口臭はないのに、口臭があると思い込んでいることを言います。たとえば、過去に「口が臭い」と指摘されて以来、自分の口臭が気になって仕方がない、といったケースです。心理的口臭は過去のトラウマやストレス、不安が原因になっていることが多いこともあり、解消できるかどうかはその人の気持ち次第だと言えます。

あなたの口臭は大丈夫!?

「毎日、歯磨きしているから大丈夫」だと思っていても、本当にお口のニオイは大丈夫ですか? 口臭は自覚しにくいため、もしかしたら、あなたが気付いていないだけで周囲は不快な思いをしているかもしれません。口臭はデリケートな問題で周囲も指摘しづらいため、改善するには、まず自分で認識することが重要になってきます。 口臭のセルフチェック方法や口臭の種類別の改善方法は、以下の記事で詳しく解説していますので、せひ参考にしてください。

  • 歯の隙間や歯の長さが目立つ

    歯の隙間や歯の長さが目立つ

    歯周病が進行すると、歯と歯の間の隙間が目立つようになったり、歯が長くなったように感じたりすることがあります。なぜなら、歯周病が進行すると徐々に顎の骨が溶かされていくから。顎の骨が溶かされていくと、その上に覆い被さっている歯茎も下がってくるのです。

歯茎が下がると、それまで隠れていた歯根部が露出してくるため、歯と歯の間の隙間が目立つようになったり、歯が長く見えたりします。歯茎が下がることの問題は、見た目の印象が悪くなることだけではありません。 歯茎が下がると、露出した歯根部にプラークが溜まりやすくなり、さらに歯周病が悪化するリスクが高まります。その他、歯根部が露出すると、歯周病だけでなく虫歯や知覚過敏を引き起こしやすくなります。

下がった歯茎は元に戻せる!?

歯周病によって歯茎が下がってしまった場合、元に戻す方法がないわけではありません。ただし、完全に元どおりにできるかどうかは、歯茎が下がった程度によって変わってきます。歯周病が重症化して歯茎が大きく下がってしまった人は、残念ながら元どおりにするのは難しいかもしれません。

歯周病によって下がった歯茎を元に戻す治療は、大きく2つあります。一つは、今ある歯茎を移植・移動することで歯茎の審美性を回復する方法。もう一つは、溶かされた顎の骨を再生させることで歯茎を元の位置に戻す方法です。

今ある歯茎を移植・移動することで歯茎の審美性を回復する方法は、一般的に「歯茎の再生治療」と呼ばれます。歯茎の再生治療は、別の場所の歯茎を下がってしまった場所に移植したり、下がってしまった場所の上や横にある歯茎を引っ張って移動させたりすることで見た目の違和感を解消します。

溶かされた顎の骨を再生させることで歯茎を元の位置に戻す方法は、歯周病によって溶かされた顎の骨を再生させることで、顎の骨に覆い被さっている歯茎を盛り上げます。顎の骨を再生させるには、通常、「エムドゲイン法」「GTR法」「骨移植」といった治療がおこなわれます。 これらの治療はいずれも高度な専門性が求められるため、歯周病治療の実績豊富な歯科医院を選ぶのがいいでしょう。

歯周病以外で歯茎が下がる原因とは?

歯茎が下がる原因でもっとも多いのは歯周病ですが、それ以外の原因でも歯茎が下がってしまうケースがあります。よくあるのが、強すぎるブラッシングです。 力を入れて歯磨きをすると歯茎に傷が付く擦過傷(さっかしょう)になります。擦過傷になると歯茎が痩せてしまい、歯根部が露出して歯が長くなったように見えます。

噛み合わせが悪い場合も、歯茎が下がることがあります。噛み合わせが悪いと一部の歯・歯茎だけに過剰な力が加わるため、歯茎が少しずつ痩せ、歯根部が見えるようになるのです。 その他、根尖病巣などの歯の根の病気があることで歯茎が痩せるケースもあります。歯茎が下がってしまう原因や治療法については、以下の記事でも詳しく解説しています。

  • 歯のぐらつき

    歯のぐらつき

    歯周病が重症化すると、顎の骨が大きく溶かされていきます。顎の骨が溶かされていくにつれ、歯を支えきれなくなり、歯がグラグラ(動揺)するようになってきます。

ちなみに、健康な歯でも力を加えるとわずかに(0.2mmほど)動きます(生理的動揺)。生理的動揺の範囲であれば心配することはありません。しかし、軽く指で押しただけで歯がグラつくのが分かるようであれば危険信号。歯周病が進行しているおそれがあるため、早急に歯周病の検査・治療を受けたほうがいいでしょう。 そのまま放置していると、歯が大きくグラついて食事をするのも不自由になり、ひどい痛みに襲われるようになってしまいます。

歯のグラつきが大きいほど歯周病が進行しているということであり、一般的に歯の動揺度検査によって4段階に分けられます。

  • 動揺度0:正常(ほとんど動かない)
  • 動揺度1:初期の歯周病(前後に動く)
  • 動揺度2:進行した歯周病(前後・左右に動く)
  • 動揺度3:重度の歯周病(前後・左右・上下に動く)

歯周病以外で歯がグラつく原因とは?

歯がグラつく原因は歯周病だけではありません。「噛み合わせが悪い場合や歯ぎしりのクセがある場合」「歯の根が割れてしまった場合」「歯の根の先に膿が溜まっている場合」なども、歯がグラつくようになります。順番に解説していきましょう。

噛み合わせが悪い場合や歯ぎしりのクセがある場合

噛み合わせが乱れている人や、歯ぎしりのクセがある人は、どうしても一部の歯だけに過剰な負担がかかります。一部の歯だけに過剰な負担がかかっている状態が続くと、歯根膜(歯と骨の間でクッションの役割を果たす組織)がダメージを受け、歯がグラついてくることがあります。

歯の根が割れてしまった場合

歯の根が割れる(歯根破折)と、歯がグラグラするようになります。歯根破折は、交通事故や転倒、スポーツ中の事故などの外傷によって起きるほか、過去に神経を除去した歯でもよく見られます。 神経を除去した歯は脆くなっているため、歯ぎしりや食いしばり、硬いものを食べるなどして強い力が加わると折れてしまうことがあるのです。

歯の根の先に膿が溜まっている場合

歯の根の先に膿が溜まる病気を「根尖病巣」と言います。根尖病巣は、過去に神経を抜いた歯が再び細菌感染することで起こるケースが多く、歯が浮いたような感覚がするほか、歯がグラついてくることもあります。

歯周病はプラークに潜む歯周病菌が原因

歯周病はプラークに潜む歯周病菌が原因となって、歯茎などの歯周組織に炎症を起こす感染症です。歯周病という病気について、「歯茎が腫れる病気」「歯茎から血や膿が出る病気」というイメージを持っている人は多くいますが、こういったイメージは歯周病を甘く見ていると言わざるを得ません。
歯周病が怖いのは、進行するにつれて顎の骨が溶かされていくことです。顎の骨は歯を支える役割を果たしているため、骨が溶かされると徐々に歯がグラグラしてきます。そして、最終的には顎の骨が歯を固定しきれなくなり、歯を抜かざるを得なくなってしまいます。

抜歯を回避するためには、歯茎の腫れ・出血・排膿などの異変に気付いたら、できるだけ早めに歯科医院を受診して治療をスタートすることが大切です。 歯肉炎(歯周病の初期段階)であれば、丁寧な歯磨きによって自然治癒することもありますが、基本的に歯周病は自然に治ることはありません。

ちなみに、歯周病は大人、特に高齢者がかかる病気だと考えている人もいますが、必ずしもそうではありません。 たしかに、加齢とともに免疫力が下がりますし、口腔ケアが行き届かない人も多くなるため、高齢者のほうがハイリスクなのは事実です。しかし、口腔内環境が悪ければ、子どもでも歯周病にかかります。

歯周病の厄介なところは、初期の自覚症状が薄いことです。そのため、多くの人が歯周病に感染しているのに気付いていません。症状を自覚して歯科医院に行く頃には、ある程度、進行してしまっているケースが非常に多いのです。歯周病対策として重要なのは、小さな異変も見逃さず、早期のうちに歯科を受診すること。「もしかしたら、歯周病にかかっているのでは……」と不安になったら、以下のページで簡単な歯周病チェックをしてみましょう。12個の設問に「はい・いいえ」で答えるだけで、あなたのお口の健康状態が分かります。

歯周病の進行段階

歯周病にかかっていない健康な状態では、歯周組織によって歯がしっかりと支えられています。歯茎はピンク色で引き締まっており、歯と歯の間にぴったりと密着しています。しかし、歯周病に感染すると歯茎などの歯周組織に様々な異変が見られるようになります。 歯周病は、「歯肉炎」→「軽度歯周炎」→「中度歯周炎」→「重度歯周炎」という流れで進行していきます。それぞれの段階でどんな症状があるのか見ていきましょう。

・歯肉炎
歯肉炎は、歯周病のもっとも初期の段階です。歯茎が炎症を起こして赤く腫れてきます。痛みはありませんが、歯磨きをすると出血することがあります。

・軽度歯周炎
歯茎の炎症が進んで腫れがひどくなり、出血も目立つようになります。歯周ポケットが徐々に深くなり、歯を支える顎の骨が溶かされはじめますが、まだ痛みはありません。

・中度歯周炎
歯茎の炎症がさらに進み、歯周ポケットはより深くなっていきます。歯茎からは血だけでなく膿も出るようになります。また、顎の骨が半分くらい溶かされ、歯がグラつきはじめます。

・重度歯周炎
症状はさらに進行し、歯を支える顎の骨がほとんど溶かされてしまいます。歯が激しくグラつくようになり、痛みを伴うため食事をするのも不自由になってきます。また、膿や口臭もひどくなります。

他の病気と同様に、歯周病も進行するほど治療期間は長くなり、治療費の負担も大きくなっていきます。また、外科処置が必要になるなど体への負担も大きくなっていきます。もし、歯周病に感染してしまったとしても、歯肉炎の段階、もしくは軽度歯周炎の段階で気付いて治療をスタートすることが大切です。歯周病の進行度については以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事

歯周病を放置しておくとどうなる?

再三にわたってご説明してきたとおり、歯周病を放置していると、最終的には「抜歯」という結末が待っています。抜歯をすると、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの治療を受けて歯の機能を回復しなければいけません。そうなると、治療期間はさらに長引き、治療費の負担もさらに重いものになってきます。

決して脅かすわけではありませんが、以下のようなパターンを辿り、後悔する人が非常に多くいることを知ってください。

  • → 歯茎からの出血に気付く
  • → たいしたことはないと考えて放置
  • → 歯茎から膿が出てくる
  • → そのうちに治るだろうと考えて放置
  • → 歯がグラグラしてくる
  • → 重い腰を上げて歯科医院を受診するも、末期の歯周病のため歯を残すのが難しいという診断
  • → 抜歯して入れ歯を入れる
  • → 以前のように硬いものをしっかり噛めず、食事が楽しくない
  • → 「こんなことになるなら、歯茎からの出血に気付いたときに歯科医院に行っていれば……」

高精度の入れ歯・ブリッジもありますが、保険の入れ歯・ブリッジだと噛む力は元のようには戻りません。インプラントは非常に優れた治療法ですが、私たちが本来持っている天然歯にはかないません。 「歯茎が腫れている」「歯茎から血が出て痛い」「歯茎から膿が出る」といった症状に気付いているのであれば、早めに歯科医院に行くようにしましょう。

清水 智幸(しみず ともゆき)

清水 智幸(しみず ともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長

歯学博士。日本歯科大学を卒業後、奥羽大学・スウェーデン王立イエテボリ大学に所属して世界基準の歯周病学を研究する。経験した歯周病・歯周外科の症例は10000以上。現在は歯周病治療に日々励むほか、インプラントの歯周病トラブル(インプラント歯周炎)治療に取り組み、世界No.1インプラントメーカー ストローマン社の講師として後進の育成や予防歯科の啓発にも力を入れている。

歯周病の症状はさまざま。しばらくは生活に差し支えない症状がほとんどです。ついほったらかしにしてしまうケースが絶えません。ゆっくりとではあるものの確実に進行してどんどん治療が困難になるのが歯周病の宿命。「出血、口臭、腫れ、痛み」が出てきたらご注意!